2010年4月8日木曜日

"NO TO WAR!"; January 28, 2003

声明のリンクはこちら。
"NO TO WAR!" (A CBCP Statement on Possible War in Iraq)

2003年初頭のアメリカ合衆国を中心とする有志連合によるイラク攻撃を前にしての反対声明である。一読して明らかにバチカンによる反戦声明に連なるものであり、フィリピン政府に先制攻撃(pre-emptive strike)に同調しないよう呼び掛けている点を除けば、きわめて一般的な内容である。だから、特に論ずべきことも見当たらない。

教皇の「戦争というものはいつでも人類にとって敗北である」という全般的な反戦思想に基づいているため、反戦をアピールするだけで終わってしまっている。ではサダム=フセイン政権のように国際社会を挑発し続け、地域の安全保障上の不安定要因となっている権威主義的性格の強い政府をどのように評価し、どのように関わるのかについての、積極的な提案は欠けている。つまり、戦争はとにかくだめだ、ということではあるが、ではどういう方向性で行くのか、そもそも国際テロの問題についてどういうパースペクティブで臨むのか、そういう見通し(ビジョン)が示されていないため、どうも言いっぱなしの感が否めないが、宗教家が出す平和を求める声明なんてそんなものだ、とも言えるのかもしれない。

平和問題についてはミンダナオ問題を抱えるフィリピンで、この問題について関心が高いはずの、取り組みを重ねてきたはずのカトリック司教協議会としては、もう少し踏み込んだ考察に基づいて、もっと方向性を打ち出せなかったのだろうか、と思ってしまった。

0 件のコメント:

コメントを投稿